この記事では、就労のためのアドバイスとして、「何ができるか」「何ができないか」を知ることの重要性について書いてゆくことにします。

 

発達障害者の就労の難しさ

発達障害者の方々が高校や大学を出て社会に出る頃合いになれば、会社や自治体などの組織に就職して働くことになるかもしれません。自分の力できちんとお金を稼ぐことに満足感を得ることにもなるでしょうし、新たな関係が出来上がることに不安を抱くことにもなるでしょう。

とは言え、当事者の方々を取り巻く問題は後を絶ちません。コミュニケーション上の問題や職務内容に関わる問題など、内容も様々です。

例えば、以下の例は典型的と言っても良いでしょう。

  • 仕事を指示されたとおりに行うことができない
  • 言われたことをすぐに忘れてしまう
  • 同じことを何度も聞いてしまう
  • 注意された意図をうまく読み取ることができない
  • 何を優先すべきかが分からない

 

以上のようなことが日常茶飯事なので、発達障害者の方々が仕事上のトラブルを起こしてしまう(あるいは抱え込んでしまう)というのは、よくあることと言わざるを得ません。また、そのようなトラブルが元となって、うつ病などの二次障害を発症し、休職もしくは退職につながってしまうことも多々あることでしょう。

 

「できないこと」はいつまで経ってもできるようにならない

発達障害者の方々が職場で働く上でどうしてもネックになってしまうのが、「他の人はできているのに自分にはできない」という、「できないこと」に対する叱責もしくは自己嫌悪ではないかと思います。これにより、かなりのストレスを感じてしまうことは多いでしょう。

しかし、発達障害はそもそも脳の発達に不具合があることによるものですから、「気合」を入れたところで突然できるようになるというわけではありません。むしろ、例えばコミュニケーションで言外の意味を読み取ったり、報告のタイミングを見計らったりというようなことは元から苦手であって、いくら努力しても改善はできないでしょう。

ですから、「元からできないことを何としてでもできるようにする」のは時間の無駄になってしまうと見て間違いないでしょう。そればかりではなく、本人にとっても精神的疲労を抱え込んでしまうことになりますし、会社などにとっても進めたい仕事を進められないのですから、一利もないことになってしまいます。

 

理想は「できる部分」が存分に活かせる状況を作り出すこと

発達障害を抱えている方々は、「できる部分」と「できない部分」がはっきりしている場合がほとんどです。ここをどう捉えるかが、就労を長続きさせる鍵ではないかと思います。

どうしても「できない部分」ばかりがクローズアップされてしまいがちで、ここをどう「矯正」するかに時間を割いてしまう例も多いようです。しかし、これではストレスが溜まる一方で、就労もおそらく長続きはしません。

ポイントは「できる部分」をどう活かすか、そこしかないと私は思っています。できる部分が分かっているのなら、そちらを優先的に取り組むと良いでしょう。もし分からない場合でも、障害者職業センター等で実施されている適性検査を受ければ、だいたいの傾向はつかめるのではないでしょうか。

 

「できる部分」に取り組むメリット

「できる部分」に取り組むことによって、次のメリットが得られます。

  1. 「できた」という達成感が得られる
  2. 実績が少しずつ増える
  3. 積み重なった実績により、自信につながる

 

このうち、一番大事なのは3つ目の「自信につながる」という部分です。

発達障害者は「できない部分」ばかりを取り上げられ、責められてしまっているせいで、自信を持てていないことがしばしばあります。しかし、彼らだって決して「できない部分」ばかりがあるのではありません。「できる部分」もしっかりと持っているのです。

いったんそこを見つけ出し、自身で納得が行くようになれば、しめたものです。後はひたすら「できる部分」を中心的に取り組み、実績をどんどん積み上げていきましょう。そうすることで、「心の拠り所」ができるはずです。

「普通の方々」のようにオールマイティとは行きませんが、何かしらの分野で専門家を目指すのであれば障壁はいつもより低く感じられるはずです。

できることはどんどん取り組んでいき、できないことはできないと諦める。そういった割り切りが、発達障害者の方々には必要なのではないでしょうか。

 

最後に物を言うのは徹底した自己分析

ここまで「できない部分」に取り組むことの無意味さと「できる部分」に手を付けることの重要性について書いてきましたが、まず、自分に何ができて何ができないかを知ろうとしなければ、お話になりません。

そこでは、上でも触れた「適性検査」を利用するのも一つの手です。あるいは、自分にとって興味のあることを探し出してみても良いでしょう(その際、現在流行りであるかどうかは度外視してください)。かつて熱中した本やゲームなどについてまとめてみるのでも構いませんし、資格の勉強に手を付けてみるのも良いかもしれません。

ここで大事なのは、「トライアンドエラー」を繰り返すとともに、自分に対する「フィードバック」を絶えず行うということです。言葉を換えれば、「自分はこれができるのではないか」という仮説を立てて検証に入る、この繰り返しをすれば良いのですね。

こうやって、自分にとって「できること」と「できないこと」を見分ける目を養っていただければ、私にとってそれ以上の喜びはありません。

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