「発達障害者」全員に共通した支援はできない

「発達障害者への支援は難しい」という話をしばしば目にします。あの人に通用していたはずの支援がこの人には全く通用しないということは日常茶飯事のようです。

このように、「画一的な支援ができない」というのが現状の大きな課題となっています。決まりきったマニュアルのようなものがなかなか作れないからこそ、支援に難しさを感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

それでは、どうしてこんなことが起こるのでしょうか。

答えは簡単です。「発達障害はそもそも脳の発達の遅れや異常が原因の障害で、脳の発達の具合は一人ひとり違うから」です。

すなわち、当事者それぞれについて障害の程度は様々ですから、実際に支援を行うにあたっては、一人ひとりに合わせた支援を考えなければならないのですね。

言葉を換えれば、あらかじめ策定されたマニュアル通りの支援のあり方ではなく、特性にきちんと則って作られた「オーダーメイド」の支援であるべきなのです。

 

「オーダーメイド」支援の一例

例えば、「過集中」はそれほどでもないけれども、興味を抱く範囲がかなり限定的だという方がいらっしゃるとしましょう。そういう方には、「過集中」をどのように防ぐかというような支援はあまり必要ないのに対して、興味の部分をどのように活かすか、考えるのは不可欠ですよね。

ここで、興味の範囲を無理に広げようとしたところであまり意味をなさないのは、この記事をご覧になっている皆様にはお分かりいただけるでしょうか。もともと「脳の性質」によって「幅広い興味が持てない」のがこの人の特徴であるにもかかわらず、そこを無理やり克服しようとしたところで、できるようになるはずがありません。

繰り返しますが、必要な支援というものは、個人個人の特性によって変えていかなければなりません。ですから、この方の場合は、「障害によりできなくなっている部分」を無理やりできるようにするのではなく、「興味を持っている部分」をどのように活かすかという方向性にシフトしていかなければなりません。

実のところ、「特定の分野にのみ興味を持つ」ということについては、ASD(自閉症スペクトラム)で顕著に見られるのだそうです。その場合、興味の抱き様は他の方と比べることができないほどに強いもので、研究者になれる素質があると言っても決して過言ではありません。

もちろん、ただ単に興味を持って色々と動いたところで仕事ができるようになるわけではありません。そこはきちんと他の方にカバーしてもらう必要があります。要は、「興味を持っている部分」をどのようにして仕事に結びつけてゆくか、実際の行動を当事者一人に押し付けるのではなく一緒になって考える場を設ける、これこそが例に示した方にとって必要な支援なのではないでしょうか。

 

実際に行われている支援の実態

上に書いた「オーダーメイド」支援はあり方として理想的なものですが、実際に行われているのは、それとは程遠いものである場合が多いです。

特に、現状の制度では「精神障害者」と「発達障害者」は一括りにされている場合が多く、なおかつ発達障害者専門の医療の場というのもほとんどありません。精神科医や心療内科医が発達障害であるかどうか判断するのが普通で、デイケアや作業所などの福祉施設も精神障害者の方々と一緒に過ごすタイプのものが数多いです。

こういった現状の医療・福祉の場においては、「発達障害者」への支援にあたって「精神障害者」の支援のルールが準用されると言っても良いです。発達障害者独自の方法論はまだまだ整備されておらず、そのために「精神障害者」と同じ接し方をしてしまったがばかりに当事者の方々から顰蹙を買うことも少なくありません。

「発達障害者」をきちんと診ることができる医療関係者が不足しているのと同じで、「発達障害」にきちんと向き合うことのできる医療関係者もまだ少ないのが現状です。どういう性質のものであるかをきちんと理解していただくと同時に、私たちの特性を活かしてくれるような支援のあり方が、これから先、ずっと求められるのではないでしょうか。

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